拘束体験談④

拘束体験談①
拘束体験談②
拘束体験談③


ドアが バタン! と 大きな音を立てて閉じられ
ガシャン! と 施錠される音が 室内に響いた

彼は 拘束された身体で 身動きとれないながらも
ゆっくりと 周囲を見回した

ダークグリーンの壁には
なにやら 黒いペンで 落書きがしてあった

おそらく
彼の前に入室していた患者が
私物の持ち込みチェックをかいくぐり 室内に持ち込んだペンで 書いたものと思われた

平成×年×月×日×時×分
富士山が爆発する
俺にはわかる
○○号室の △△が ある日俺に 毒を飲ませたから
俺には予知能力が身についた
もしこの日に富士山が爆発しなかったら
莫大なマグマエネルギーが 行く場所を失い 海底火山を噴火させる
この病院も流される
結果的には すべて △△の 仕業だ
昨日から 頭が痛い
これも △△の仕業だ
こんなところに 俺を入れたのも △△だ
この部屋から出たら ○○号室の△△を殺す    
平成△年△月△日△時△分 記



彼は この落書きを 以前 仕事しながら 何度も目にしていた
『同じ色のペンキを上から塗るとか 消すとか すればいいのになぁ・・・』と
ずっと 思っていたが
まさか 自分が この部屋で拘束されて それを目にするなんて
思ってもいなかった

患者さんを誘導しながら 横目で見ていた その落書きは
拘束されて 横になった状態で見る 今の方が
数段 不気味に見えた

反対側の壁を見ると
やはり 同じ患者さんが書いたものであろう
女性器のマークが 書かれていた

「・・・・・。」

天井を見上げると 
蛍光灯にはめられた プラスチックのカバーに
拘束された 自分の姿が映っているのが 見えた


「開けてくれ~~ 開けてくれよ~~~
 ・・・・・
 ちくしょー 俺をこんなところに閉じ込めやがって!
 俺は特別なんだ!!
 俺は 天皇家の直系の ○○○だぞ!
 宮内庁に電話させろ!
 ここに俺を閉じ込めた 医者も看護師も クビにしてやるからな!」



別の保護室にいる患者さんの叫ぶ声が ドア越しに聞こえた


バタバタ・・・と 足音が聞こえたかと思うと
その叫び声に返事をする 看護師Bさんの声がした

『○○さん 今の○○さんは お電話は無理ですよ 
 さきほど説明したとおりですよ』

「なんだとーー 通信の自由があるじゃないか
 こんな病院 退院してやるからな!」
 

※ 実際は 通信の自由というのが 法律で保障されており 弁護士や人権擁護委員会に連絡をするのは制限されない。しかしそれ以外への通信(例えば家族などの関係者)は
医師が治療上制限が必要と判断した場合は 制限されることがある ※


今の声は・・・○○さんだな。。。と 彼はボンヤリと考えた


「看護婦さーん 看護婦さーん 
 俺んち 火事になってない? ねぇ 火事になってないよね?
 大丈夫だよね?」
 


『だいじょぶですよ~』 看護師Aさんの声が聞こえた


××さん また 火事の心配してる。。。
また 幻覚が見えているのかな。。。。



自分が全身をこんな風に拘束されているとき
『火事の幻覚』に襲われたら・・・

拘束されて 身動きできない状態で 火事の幻覚に襲われたら
それはもう すごい恐怖だろうなぁ・・・・逃げられないもんな



初めて 彼は


不安に襲われた
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by latenscurtis | 2004-11-10 21:51 | hospital