ハートに火をつけて

『らんー 日付変わったから PC再起動してー』

はーい
ついでに巡視も行ってくるから 日誌の巡視時間チェックしておいてくれる?

『あいよー』


Ns Stationを一歩出ると
生暖かい空気が 肌に触れた

クーラーは 22:00で終了

暑くて眠れない患者さんが ひとり ふたり
ホールを うろついていた


ガラス張りの喫煙室の中の 備え付けのライターの前に
ひとりの患者さんが立っていた

あれ? よっさん(愛称)じゃないの


・・・よっさん タバコはやめたはずなのに・・・







なにやってるんだ? と 喫煙室の外から じっと 様子を見ていると
ライターを持っていたよっさんの手元から 白い煙があがった

あれ?
やっぱ タバコまた再開したのかな?
まぁ 禁煙したのは 春だったから また吸いたくなったのかもね
わかるわかる! わかるよ~

そう思って 喫煙室から 奥の病室の方へ向かおうと
廊下を歩き出した



・・・???? なんだ?


よっさんの手元から タバコにしては多い量の煙が立ち昇ったのが見えた


え? なに あの煙?
煙草じゃない!!!!!


あわてて 喫煙所にかけもどり ドアを開けた

よっさん!! なにやってるの!! 

ドアを開けて 叫んだと同時に 目と鼻をつく異臭

明らかに 紙や布ではない 化学物質の燃える臭いだ


いきなり飛び込んできた私の大声に よっさんは 身体を びくっとさせて振り向いた
手から バラバラ・・・と 何かが落ちた


よっさんの腕をひっつかみ 喫煙室の外に引っ張り出す

ホールをふらついていたほかの患者さんたちが 
なんだ?なんだ?と 寄ってきたので
「今 喫煙室に入っちゃダメよ!わかった?」と 制する


よっさんの頭からつま先まで ボディチェック



よかった。。。服は燃えていないし 火傷もしていない。。。



騒ぎを聞きつけた同僚が
Ns Stationの扇風機を持ってきて 入り口から窓に向けて 強風のスイッチ
強制排気する


よっさん あぶないよ!こんなことしたら!
火事になっちゃうよ!
よっさんだって 火傷するところだったよ!

どうしてこんなことしたの


「・・・・・。」


よっさんは こたえようとしなかった




よっさんの手元から落ちたのは
数枚の トランプだった

紙製ではなく プラスチックのカードだったので
熱でじわじわと溶け あんな臭いがしたんだ


よっさんが 火をつけたのは ♡ のエースだった





そういえば そんなタイトルの歌があったな


パソコンでアクシデントレポートを作成しながら
鼻歌で 口ずさんでいると 後輩が言った

「それ なんていう曲ですか?」

ハートに火をつけて っていう歌
古い歌だよ
たぶん キミが生まれるずっと前だと思うよ

「・・・今夜のよっさんに ピッタリの曲ですね」 
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by latenscurtis | 2006-08-06 22:37 | hospital