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まぎらわしいもの

その日の日勤スタッフは ♂2人  らん 新人♀(准看護師。正看取得のため学校に通いながらここで働いてる) の 4人

♂2人は 究極のマイペース人間なので なにかあったら 手を借りられるけど
それ以外は 人の仕事には手を出さない人たち

ま こっちとしても 気楽といえば 気楽に仕事できる人たち

新人Yちゃんは 一昨年成人式を終えたばっかりの ぴちぴちさんで
文句なく うちで 一番若い
男性スタッフからも 女性スタッフからも 可愛がられる いいキャラの女の子



そんなメンバーで 仕事をしていた
土曜日の午後



Yちゃんの担当の患者さんが 不穏気味で 落ち着かず
Ns Station に来ては 窓を叩いて訴える
Yちゃんでは 対応しきれず やむをえず 私が 話を聴くことに

「Yちゃん 私が ××さんの 話を聴くから。
 かわりに ○○さんのところに行って 午後の飲み物を飲ませてあげてくれる?
 隔離中だから お部屋に持って行ってね
 お茶でもいいし 本人用のおやつとか飲み物とかあったら それもあげてね
 トイレも確認してね」

○○さんは 私の担当だが 状態が やや不安定で
一日 お部屋の中で過ごしてもらっている
ドアには鍵がかかり 食事も 食堂ではなくお部屋で
トイレも お部屋の中に 簡易トイレを設置 排泄したら すぐ片付ける
1時間に 2回以上の巡視 
寝ている場合は 呼吸の確認 

自由に部屋を出入りできないので 適宜 水分を勧める

しかし 水分をなかなか 取りたがらない
おしっこも けっこう 遠い

こちらから 積極的に 水分を勧めなければいけない人だ

『わかりました!いってきます!』

Yちゃんは 配膳室に行き お茶と 本人のおやつを持って ○○さんの部屋へ向かった



Ns Station前で 興奮ぎみに話す ××さんの話を聞き
不穏時の薬を与薬
安静を促すため 部屋に付き添い ベッドに寝かせる

Ns Stationに戻ると ちょうどYちゃんも 戻ってきたところだった

『○○さん お茶を持っていったら ジュースの方がいいとおっしゃったので
 先日の面会で差し入れのあったジュースを 渡しました』

「ありがと。ちゃんと飲んでた?」

『プルトップを開けてましたから たぶん飲んでくれると思いますけど。。。』

「そう。ありがと。 ××さんは 話を聞いてもおさまらなかったから 薬飲んでもらったから  ね カルテには 私が書いておくから」

『はい ありがとうございました』



夕方からのスタッフが出てくる頃
腹痛を訴える患者さんを 処置室に誘導し お腹の状態を看ていると
Yちゃんが 来て

『らんさん 私のほうは ひととおり終わりましたけど なにか やっておくことありますか』

「××さんの状態はどう?」

『薬が効いたみたいで お部屋で静かに過ごしています』

「そう。じゃ 悪いけど ○○さんのところにいって トイレ ハルン(尿のこと)出てないか
 見てくれる? 最終確認できたのが お昼過ぎだったから」

『わかりました!』 しゃきっと 返事をして ○○さんの部屋に向かう Yちゃん


腹痛の患者さんは どうも 便秘が原因らしく
「今日の夜 下剤を飲もうね」と 話をしていたら
タタタ・・・と 足音

処置室のドアが開き Yちゃんが 切羽詰った顔で 言った


『らんさん! ○○さんですけど 血尿出てるみたいです!
 量も多いし 色もけっこう濃いです!』


けっ 血尿!?


だって 昼過ぎまでの尿は 普通だったぞ??
バイタル(熱・血圧・脈拍・呼吸数などのこと)だって 問題ないぞ?
腎機能だって 特に問題なかったはずだ・・・


「本人の様子は?」

『いつもと かわりないです・・・』


                      かわりない。。。?



Yちゃんと一緒に ○○さんの部屋に行く

本人は 確かにいつもと変わりなく うつぶせに寝ている
(この人のいつもの姿勢なのだ)

「○○さん おトイレ 見せてもらうね」

声をかけ トイレを開けると たしかに 赤褐色の液体が 簡易トイレのバケツに入っていた
ざっとみて 300ml前後はありそうだ

「Yちゃん バイタル 再検してくれる?
 それから 最新の検査データ うちだしてくれるかな」

『はいっ!』

Yちゃんが Ns Stationにかけもどったあと もう一度 本人を見てみる
いつもと変わらず うつぶせで 顔だけ横に向けている

「○○さん お腹痛くない?」

『・・・・・・。』


うーん。。。 なんかおかしいな。。。


「○○さん。ちゃんと 水分とった? 
 Y看護師さんが ジュースもってきてくれたね。飲んだかな?」

『・・・・・。』

枕元においてある ジュースの缶に触れると 中は 空になっていた



もう一度 トイレを見てみる・・・


赤褐色の液体。


トイレに近づき 匂いをかいでみる


・・・・。


               これは・・・・。



Yちゃんが 体温計と血圧計を持って 戻ってきた



『じゃ バイタルとります!』

「いや とらなくていいよ」


『え? でも・・・・。』



「Yちゃん トイレ もっかいよくみてごらん
 においもかいでみて」

『あ・・・私 風邪っぽくて 今 鼻があんまり利かないんで・・・』

「そっか

 ね ジュースあげたって言ったけど 何ジュースだった?」


『え・・・。あのジュースですけど・・・』 ○○さんの枕もとのジュースの空き缶を指差した








「Yちゃん。これ 血尿じゃなくて ファ○タグレープだよ」





『えええええええええええええええ   ほほほほんとですかーーーーーーーー』



「うん においかげばわかるよ。 ハルンのにおいしない。ファン○グレープのにおいだよ」


『わぁぁぁぁ すいません すいませんっ 
 私ったら はやとちりして・・・・・すいませんっ(>_<) 』





トイレを片付けてから
半泣きになって 謝るYちゃんを連れて Ns Stationに戻る


不注意を叱るどころか

もう 笑いが止まらなかった

なぜなら



私も同じ目にあったことがあるから。


もっとも そのときは メロンソーダの緑色だったので すぐ気づいたけどね(笑)



ナースに 「ちゃんと飲んだ?」ときかれるのが わずらわしくて
捨ててしまったらしい

いやなら 残してくれてもいいのに。。。。笑
代わりのものもあるんだから。。。



とにかく グレープジュースとか 苺ジュースとか 捨てないでください。

早とちりな看護師さんが 血尿と間違えるので。

by latenscurtis | 2005-01-17 20:30 | hospital