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「知識はあとからついてくるもの」

「・・・だと 俺は思ってるんだ らん! 違うか? 俺の言ってることわかるか?」

わかりますよ。


日勤が終わって ほとんどのスタッフが帰り
準夜のスタッフは 患者さんの夕食のため 食堂に出ていた


スタッフの休憩室で 学生の実習レポートを添削していた私に
実習担当の看護学校の先生と話をしてきた先輩が
ため息をついて話しかけてきた







この先輩とは 先日の関西観光出張も一緒に行ったし
今年から同じ『学生実習指導担当』として 同じチームでやっている
先輩は 何年も実習指導をやってるけど 私は今年が初めてなので
いろいろ 教わることが多い

今日は いろんな患者さんの調子が悪く
みんなバタバタと あちこちかけまわって仕事をしている中
先輩と 看護学校の先生は 長いこと休憩室で 話し合っていた

学生のカンファレンスが終わった後も 先輩は戻ってこなかった


で 定時が過ぎてから 学生のレポートを添削していたら
やっと 先輩が戻ってきたのだ


・・・なにかあったんですか?


「俺はさ、いつも学生の指導をしているときに 思うんだよ
 『知識はあとからついてくるもの。
 現場では現場でしか勉強できないものを吸収してほしい』って。」

うん 確かにそうですね。

「だろ。 でもさ、 学校側は違うんだよ・・・違うっていうかさ、、、
 先生たちは まず教科書で習った知識を目の前で見せたいっていうか
 『はい これが妄想です。これが幻聴の発言です。』
 『病識とは・・・この発言から・・・このように・・・』『では実際にみてみましょう』 みたいなさ。」

・・・うーん。。。。。

「実習期間が2ヶ月も3ヶ月もあるなら それでもいいさ。
 でもな 彼女たちの実習期間は 2週間だよ、しかも病棟に入るのは 実質8日間くらいだ
 その短い実習期間の中でね 
 俺は なるべく 『現場でしかみれないもの』を 彼女たちに吸収してもらいたいんだよ」


うん わかります。


「そりゃ 知識も大事だよ
 でもさ 看護って 『人間 vs 人間』 だろ
 ひとりの人間として 病気を持つ人との関わり 
 ひいては自分自身との関わりを 考えてほしいんだよ
 現場のスタッフが どんな風に患者さんとかかわってるか みて 感じてもらいたいんだよ
 知識なんて そういうのが感じられるようになってからでも ちゃんとついてくるもんだ

 『幻聴とは』『妄想とは』『統合失調症とは』ってのも もちろん大事
 でも もっと大事なのはさ
 『幻聴とか妄想とかを持ちつつ生きている人たちの気持ち』
 『そういう病気を持って生きている人たちにどうかかわるか』を 学ぶことじゃないかなぁ
 そういうのって 教科書に書いてあるかもしれないけど
 でもやっぱり 現場じゃないと見れないだろ

 学校はさ 『ではプランの立案のためには まず・・・』 
 まぁ それも大事だけどさ・・・ なんていうかさ・・・・・・・・・」


・・・ なるほどねぇ そりゃ 話し合いも白熱するわけだ


「なんつーかさ 年々 指導がやりにくくなってる気がするなぁ
 まぁ 俺らは(実習)場所の提供だけって 割り切れば 楽なんだろうけど
 そういうわけにもいかんしねぇ」


ですねぇ
私も 教科書の勉強って 案外あてにならんなぁって思うこと
多かったもん
基礎としては 大事だと思いますけどね


「だよなぁ~ うん らんは わかってるな!


 ・・・ つーわけで 残りのレポートのチェック らん 頼むな!じゃな!」



( ゚д゚ ) マジカヨ

 

by latenscurtis | 2007-06-30 23:20 | hospital